2012年 01月 29日
傷だらけのノルマンディーレース
ノルマンディーレースは、始めの頃、フランスのノルマンディー地方やブルターニュ地方のボンネット(ボネ)に施されたホワイトワーク刺繍を再利用して作られることが多かったことから名付けられたと以前の投稿に書きました。今日のノルマンディーレースはまさにそのボネの刺繍を集めて作られているものです。薄く透けるようなモスリン地に緻密な刺繍。
全円が5枚、半円が12枚、2/3円が4枚、沢山の刺繍の見本のようなテーブルクロス。親戚中のボネを集めてきたのかと想像が膨らみます。
twitpicは拡大表示ができるので、少々ピンぼけですが(泣)そちらにもアップしてみました。ここ。この投稿の画像のいくつかは下に拡大画像のリンクを付けました。他の画像はよかったら、上記リンクから画像⇒View Full Sizeで見て下さいね。
拡大すると、肉眼でははっきりわからない補修までよく見える。ニードルレースの手法で施されたカットワーク部分の飾りや、細かいのに立体を感じさせる刺繍も見事。芯入りのサテンステッチと細かな点々のシードステッチで陰影をつけています。
フランスの19世紀のハンカチやボネの刺繍などに見られるホワイトワーク、イギリスのエシャーワーク、18世紀ドイツのドレスデンワーク(ポワン・ド・ドレスド=ドレスデンレース と呼ばれる)、タンバーワークなどのホワイトワークはレースの文脈の中で語られることが多い。その場合、レースの代用品や模造品のように扱われることもあるのだけど、どの刺繍もそうするには余りある独自の魅力のあるものだと思う。
弱った布を補強して刺繍の重さをサポートするため、裏にチュールを張って補修してあります。満身創痍、傷だらけ。だからこそ(それでも私にはぎりぎり)手にすることが出来たのだと思う。でも、もともと繊細な作りで、しかも既に一度ボネとして使われたパーツだけで作られているものなので、このようなタイプには完璧なまま残っているものは少ないのではないかと思うのです。現地在住の方や頻繁に買い付けに行く方なら見つけられるのかなあ。まあ、私には予算的にも多分無理なのでこの状態で大満足。
色々な幅のヴァランシエンヌレースやニードルランなどチュールレースを間に挟んでピースワークしてある。ボネのマットな部分とチュールレースの透けている部分のコントラストも面白いところ。
実際の大きさはこのくらい?
前回の投稿では「ノルマンディーレースは〜」と、当然のことのように書いてしまいましたが、最近ノルマンディーレースの呼称が少し気になっています。
アメリカではそう呼ばれることが多いと思うし、本でもいくつか見たことがあるのですが、イギリスの本ではパット・アーンショウのものくらい?Lace Fairy のノルマンディーレースの項で、参照画像としてレヴィーの本が挙げられていたので、レヴィーもそう呼んでいたのかとページと図像番号で確認した所、名称の記載はなし。しかも19世紀より更に古い時代のもので、レースをリボン状などに接ぎ合わせたものをLace Fairy のLoriさんがノルマンディーと分類したもののよう。パッチワークという意味ではそうだけれど、今まで聞いたり読んだりしたノルマンディーレースの意味合いとはちょっと違うかなあ。
このレースの名前、当て推量だけど、フランスからイギリスやアメリカへ輸出する際に付けられたような気がしているのです。ノルマンディーレースという名前を使っている本などフランス、イギリスでご存知だったら教えて下さい。あるいはフランスでの標準的な呼称があればそれも是非インプット希望です。
ホワイトワークのキャップバック(ボネのベース)の傑作のコレクションがこちらで紹介されています。著名なレース・コレクターであったらしいAlfred Lescure (1862-1913)旧蔵のものが主だそう。
このサイト宛てに以前問い合わせメールを書いたことがあるのだけど、使われていないアドレスということで返ってきてしまった。このウェブサイト、どういう方が運営しているのかわからないのですが、素晴らしく充実しているので、まだご覧でなければ他のページも是非。特にサンプラーや古いパターンの項目は個人のサイトでは、私は他では見たことのないありがたい内容です。
尚、Alfred Lescureのコレクションを収めた本がアリゾナ大学のデジタルアーカイブのレース関連資料の中にあり、CD Romでも入手できるようです。(未見)このアリゾナ大学のサイトはAntique Pattern Libraryと並んで古い本を探すのにありがたいサイトです。上記2件他、リンクを参考リンク集に追加しています。(整理していないので順不同で見苦しいです)
*思い出したので追記
昔の人のリサイクルアイディア! 下地が弱った刺繍の刺繍部分だけ丁寧に切り取って再構成して新たな布に縫いつけたりすることもあったらしい。どれかの本でそんなハンカチを見たのだけど、見つからず。
全円が5枚、半円が12枚、2/3円が4枚、沢山の刺繍の見本のようなテーブルクロス。親戚中のボネを集めてきたのかと想像が膨らみます。
twitpicは拡大表示ができるので、少々ピンぼけですが(泣)そちらにもアップしてみました。ここ。この投稿の画像のいくつかは下に拡大画像のリンクを付けました。他の画像はよかったら、上記リンクから画像⇒View Full Sizeで見て下さいね。
拡大すると、肉眼でははっきりわからない補修までよく見える。ニードルレースの手法で施されたカットワーク部分の飾りや、細かいのに立体を感じさせる刺繍も見事。芯入りのサテンステッチと細かな点々のシードステッチで陰影をつけています。
フランスの19世紀のハンカチやボネの刺繍などに見られるホワイトワーク、イギリスのエシャーワーク、18世紀ドイツのドレスデンワーク(ポワン・ド・ドレスド=ドレスデンレース と呼ばれる)、タンバーワークなどのホワイトワークはレースの文脈の中で語られることが多い。その場合、レースの代用品や模造品のように扱われることもあるのだけど、どの刺繍もそうするには余りある独自の魅力のあるものだと思う。
弱った布を補強して刺繍の重さをサポートするため、裏にチュールを張って補修してあります。満身創痍、傷だらけ。だからこそ(それでも私にはぎりぎり)手にすることが出来たのだと思う。でも、もともと繊細な作りで、しかも既に一度ボネとして使われたパーツだけで作られているものなので、このようなタイプには完璧なまま残っているものは少ないのではないかと思うのです。現地在住の方や頻繁に買い付けに行く方なら見つけられるのかなあ。まあ、私には予算的にも多分無理なのでこの状態で大満足。
色々な幅のヴァランシエンヌレースやニードルランなどチュールレースを間に挟んでピースワークしてある。ボネのマットな部分とチュールレースの透けている部分のコントラストも面白いところ。
実際の大きさはこのくらい?
前回の投稿では「ノルマンディーレースは〜」と、当然のことのように書いてしまいましたが、最近ノルマンディーレースの呼称が少し気になっています。
アメリカではそう呼ばれることが多いと思うし、本でもいくつか見たことがあるのですが、イギリスの本ではパット・アーンショウのものくらい?Lace Fairy のノルマンディーレースの項で、参照画像としてレヴィーの本が挙げられていたので、レヴィーもそう呼んでいたのかとページと図像番号で確認した所、名称の記載はなし。しかも19世紀より更に古い時代のもので、レースをリボン状などに接ぎ合わせたものをLace Fairy のLoriさんがノルマンディーと分類したもののよう。パッチワークという意味ではそうだけれど、今まで聞いたり読んだりしたノルマンディーレースの意味合いとはちょっと違うかなあ。
このレースの名前、当て推量だけど、フランスからイギリスやアメリカへ輸出する際に付けられたような気がしているのです。ノルマンディーレースという名前を使っている本などフランス、イギリスでご存知だったら教えて下さい。あるいはフランスでの標準的な呼称があればそれも是非インプット希望です。
ホワイトワークのキャップバック(ボネのベース)の傑作のコレクションがこちらで紹介されています。著名なレース・コレクターであったらしいAlfred Lescure (1862-1913)旧蔵のものが主だそう。
このサイト宛てに以前問い合わせメールを書いたことがあるのだけど、使われていないアドレスということで返ってきてしまった。このウェブサイト、どういう方が運営しているのかわからないのですが、素晴らしく充実しているので、まだご覧でなければ他のページも是非。特にサンプラーや古いパターンの項目は個人のサイトでは、私は他では見たことのないありがたい内容です。
尚、Alfred Lescureのコレクションを収めた本がアリゾナ大学のデジタルアーカイブのレース関連資料の中にあり、CD Romでも入手できるようです。(未見)このアリゾナ大学のサイトはAntique Pattern Libraryと並んで古い本を探すのにありがたいサイトです。上記2件他、リンクを参考リンク集に追加しています。(整理していないので順不同で見苦しいです)
*思い出したので追記
昔の人のリサイクルアイディア! 下地が弱った刺繍の刺繍部分だけ丁寧に切り取って再構成して新たな布に縫いつけたりすることもあったらしい。どれかの本でそんなハンカチを見たのだけど、見つからず。
by au_petit_bonheur | 2012-01-29 01:34 | ディテール