カテゴリ:古い布( 13 )

帯を手作りする楽しみ

昨年末のことになりますが、骨董市で布をお買い上げくださったお客様が通っておられる帯の教室の展示会にお邪魔しました。


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お買い上げ頂いた布で作って下さった帯。



ウクライナのリネンです。麻を育てるところから、糸紡ぎ、織り、刺繍(クロスステッチ、白糸のドロンワーク)、(レース)とすべての仕事をそれぞれの家庭内で手がけた、まさしくホームメイドの布。フランスなどでは、田舎の方でも手織りのリネンは1920年代以降は機械織りに取って代わられたと聞いていますが、ウクライナでは1950年代くらいまで、西欧でいうと19世紀の雰囲気を持った布が作られていたようです。

昔の手織り機の幅なので、幅50センチ前後まで、そして長さ2メートル半ほど、あるいはそれ以上の長い布。タオルとして使われるシンプルな布もありますが、装飾的なものは赤ちゃんの誕生のお祝いに、結婚式では新郎新婦の手を結びつける、あるいは客に供するパンと塩を載せる布として、そしてお葬式でも、と人生の節目節目に手作りされたそうです。また、お祭りでは幟のように使われたり、家の中ではイコンが飾られた壁に一緒に垂らして飾られます。

1950年頃までは赤と黒が基本色で、薔薇や罌粟など花のデザインが多い。花や鳥など、それぞれのパターン、色にも古来からの信仰に基づいた意味があるそうです。長い布の両端に同じ刺繍が施されているのですが、豪華なものだと全体の半分以上が刺繍されています。結婚を祝うものは二人のイニシャルが入っています。


このような布は、パターンや色使いは少しずつ異なり、織り模様のものもありますが、ウクライナだけでなく、ロシア、ベラルーシ、ルーマニアなどの国にあります。日本でよく知られるようになったハンガリアン・リネンもこの仲間だと思いますし、みやこうせいさんの『ルーマニアの赤い薔薇』Amazonには、壁にかけて使われている写真がありました。


刺繍されるなら>
*『クロスステッチ・フォークロア』Amazonにウクライナのデザインが紹介されていました。
*ロシアのものならRamziさんのブログに古いロシアの図案集があります




この名古屋帯は2枚の布を使って作ってくださいました。2枚の柄を前柄、お太鼓、手、垂れと素敵に組み合わせて使って下さっていて嬉しい。手のところは、ウクライナリネンによく使われる白糸のドロンワーク(方眼模様)を模倣しているのだと思われる単色のクロスステッチのボーダー、垂れは結婚する二人を祝福する2羽の小鳥。残った布で、付け帯が一枚作れるそうです。


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ヨーロッパの布で作られた帯のコーナー。右端はモリスの布。インテリアファブリックの帯は、どれも素敵で他では見つけられない存在感です。締めて歩くのが楽しくなりそう。左端のトナカイの柄もお客様のものです。少しだけ足りなかった部分に、別のお店で見つけられたやはりトナカイの柄の布を合わせて垂れの部分にしてアクセントに、という工夫も楽しい。


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北欧の布にジム・トンプソンのタイシルクを合わせた2本の帯。合わせたブルーと茶色で違った印象ですね。なるほど、柄の中の一色を使うといいんですね。着物もやはりこの2色どちらかの無地の紬などを合わせるといいのかな?


和の古い布で作られた帯、日本刺繍を習っておられる方がご自身で刺繍を施された帯、タティングレースをアプリケした帯など、手作りならではの帯が沢山ありました。(出展作品はこちら


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バッグの教室もあります。このがま口が連なったユニークなバッグは先生の作品です。本格的なバッグ作りが習えるそうです。


若い頃は、私の世代としては比較的和服を着た部類だと思いますが、最近はご無沙汰です。自分が好きな布で帯を作るのは、布好きの贅沢だなあ、着物を着て出かけるのも楽しいだろうなあと思いながら帰って来ました。



(写真はお客様からお借りしました)

by au_petit_bonheur | 2013-01-17 12:53 | 古い布

侯爵家の王冠とイニシャル刺繍のナプキン

ホワイトワークの刺繍が美しいナプキン。フランスのものです。

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大きなサイズの画像はこちらで。

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by au_petit_bonheur | 2012-11-14 22:22 | 古い布

イーラーシュシュについてコメント頂きました

先日のイーラーシュシュについて、リンクさせていただいていた谷崎さんから直にコメントを頂き詳しく教えて頂きました。現地からの得難い情報を教えていただけて本当に嬉しいです。投稿してみてよかったなあ。


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以下、引用させて頂きます。

現地ではカルドシュ(刀の)と呼ばれるモチーフですね。チューリップの形が似ているので、そう呼ばれているようですが、旦那の意見によると、元々は曲線がつながっていた典型的なルネサンス様式のモチーフの名残のようです。このサイズですと、クッションカバーのトップの部分かなと思います。ピンキング鋏でカットしてあるようですね。お花の花びら以外はすべてオープンチェーンステッチで刺繍されていますが、昔はすべて同じステッチでした。(引用終わり)



長細いペイズリー柄のように見えるところが、刀と言われれば、確かに刀に見えてきます。

西欧でのペイズリー柄は17世紀、東インド会社によってインドとの交易でヨーロッパにもたらされ、珍重されたカシミールショールに由来します。18世紀後半〜19世紀になって薄地のコットンモスリン(マリー・アントワネットのペザントスタイル、オースティンものの映画に見られるようなハイウェストのリージェンシースタイル)のドレスが流行するようになると併せて流行したこのショール、イギリスでも作られるようになるのですが、そのイギリスでの主要産地名がペイズリーでした。そして、もともとのこのカシミールショールの起源をたどればペルシャに行き着くようです。

この刺繍の刀部分はペルシャの刀のイメージだなあと、頂いたコメントからペイズリーとペルシャの関係を思いながらもう一度見なおして面白く思いました。


ほぼオープンチェーンステッチでこんなみっちりした刺繍なんですね。シンプルな技法でこれでもかっていうくらい刺してあるフォークロアな刺繍に特別な魅力を感じます。沢山見たいです。



おすすめのウェブサイト

谷崎さんのもう一つのブログ。トランシルヴァニアへの扉を拝見して憧れをつのらせています。右にもリンクさせて頂きましたので、ぜひ!

カシミール・ショールについては、ネット上では、参考リンク集にも入れているVictoriana Magazineのこの記事が詳しいです。カシミール・ショールを羽織った19世紀スタイルのファッション・プレートも見られます。Victoriana Magazine Beyond the Fringe 

カシミールショールを始め刺繍家望月真理さんのコレクション こちらのブログ、イスラムアート紀行も、布好きには目の楽しみ。 via sayoさん

by au_petit_bonheur | 2012-11-12 23:01 | 古い布

ドイツのグレインサック

前回の大江戸骨董市の写真にちらりと見えているグレインサックについてお問い合わせいただきました。こちらは、骨董市で販売済みですので、在庫しているものをご覧ください。(大変遅くなりすみません)

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グレインサック(穀物袋)フラワーサック(小麦粉袋)などと呼ばれます。今グレインサックでサーチしてみたところ、穀物を市場に持ち込むための袋という説明が多いようなのですが、私が買った時に聞いた説明では、穀物を粉にするために共同の水車に持って行くときに使われたということでした。どちらにしても、大きな袋にいっぱいの穀物や粉、重いものを運ぶのに用いられたどっしりとした風合いのよい布です。1枚目はヘンプではないかと思います。

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by au_petit_bonheur | 2012-11-09 22:30 | 古い布

猫刺繍の壁掛け

明日の大江戸骨董市の看板息子たち。

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by au_petit_bonheur | 2012-11-03 12:07 | 古い布

イーラーシュシュの刺繍の端切れ

みやこうせいさんの『ルーマニアの赤い薔薇』(アマゾン)が出版されたのが1991年だから、かれこれ20年もルーマニアの手仕事に憧れている。写真に写された人々が身にまとった衣装、室内の調度品、その手仕事、描かれたバラの花、赤、黒。

名前は知らないながらイーラーシュシュを初めて意識したのは、もう少し後で、マリ・クレール・イデーの旅のページだったと思う。白や赤一色で下地の布を隠すほどに刺してある。


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by au_petit_bonheur | 2012-11-02 23:37 | 古い布

イメトレ中です。

いえ、今ごろイメトレしている場合ではないのですが、明後日の大江戸骨董市に持って行こうかなというものを出して並べております。


空気も冷たくなってきたし、今ごろレースの真っ白もどうかな、刺繍は?そうは言っても第3週はホワイトワーク系のものを少し持って行こうと思っているので、今回は何にしよう?冬の間、部屋に暖かい彩りを添えそうなもの、何かないかな?と色んな箱から出してきたもの。

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マングルクロスにウクライナの刺繍、ルーマニアのキャンバスワーク(フリンジが好み)にイーラーシュシュ刺繍。(オオシマサチコさんの猫は私物)






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オランダの毛糸刺繍の猫の大きな壁掛け(何かに変えようと思ったのか、上の吊るすところがはずれかけ。幅が90センチ近くある)かわいいけど、可愛いすぎないところがいいんだよね。絵本屋さんや小児科の待合室の壁にかけたり、子供部屋のクッションにしてもらえないかな?







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ヴィンテージのお人形のニードルポイントはクッションやトートにしたらかわいい。ベルベットのフリンジ付きバランスは棚に敷いたり、古いベルベットとブレードがリメイクにもいい感じ、ポンポン付きタイバックは(フリンジ病ですから)ベルトやバッグに使ってもらいたいな。(これじゃ持って行きすぎだな)



などと考えていると、秋の日はあっという間に暮れてしまうのでした。

(で、こんな大きな布ばっかり持って行くと、私のブースは今回も色んなものが重なりあってしまうのであります)



個々の品のご紹介したいのですが、ちょっと時間切れになりそうです。
できれば1〜2点明日に。

by au_petit_bonheur | 2012-11-02 19:14 | 古い布

クロスステッチの小さなボーダー模様

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写真を撮っていますが、へたへた。いつも通り。
本当はもっといいんだけどな〜と、がっくり。

でも、手織りのざっくりしたリネンに、小さな十字架の形のお花のボーダー模様が
かわいいので、そこだけ切り取ってみました。
わずかにグリーンがかったチャコールグレーと深い赤の組み合わせも、
リネンの色とぴったりです。

小さなものに刺繍するとき、こんなボーダー、いかがでしょう?

by au_petit_bonheur | 2010-02-05 12:31 | 古い布

赤ずきんのフランス布


フランスの古い布のやわらかな風合いと他の国のものではなかなかない色、
そして、その組み合わせが好きです。

この赤頭巾ちゃんの布の青の色、青とベージュのコンビネーション、フランスならではだなあと思うんですが、どうでしょう?このデザインはアメリカのマーカスブラザースで復刻されているので、日本でもおなじみの柄ですが、確か3色バリエーションがある中で、この色の組み合わせは作りづらかったのか、アメリカ人の色彩感覚にフィットしないのか、ありません。

現在はこの厚みの布はカーテンとしてより、キルトや小物に使われることが多いためか、復刻版は柄が小さくリピートが多くなっています。

子ども部屋のフレームに、いろんな大きさでカットして並べるのもかわいい。

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by au_petit_bonheur | 2009-12-04 18:34 | 古い布

男の子のためのリボン


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昨日ちょこっとのぞいていましたが。。。

繭の自然な色が、そのまま時間を帯びて少し濃くなったような
やさしいクリーム色のシルクモアレのリボン飾り。

ダブルになった蝶の羽根と、ひねりを入れてタックをたたんだ、中心の結び部分。
垂れた端は、シルク糸でフリンジ。
リボン上部には、裏側にホック付きのリボンの輪があります。

優美なリボンですが、実は男の子のためのもの。

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カソリック教会では、ミサの中で、キリストを象徴するパンを食べることで
キリストの心と一体になる、聖体拝領という儀式がありますが、
幼児洗礼を受けた子どもが、主に7〜8歳頃、聖体について学んだ後
初めての聖体拝領を受けることを初聖体拝領というそうです。

このリボンは、初聖体を受ける男の子が腕に着用するもの。
(女の子は、ウエスト部分に付けるので、裏のリボンの輪が大きいし、
全体も更に大きいです。)

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      (裏側から。大きさの比較にポストカードを置いています)

年齢からいっても日本でいうと七五三の時期、
女の子のリボンは七五三の着物の扱き(しごき)のようでもあります。
信仰は違っても、大きな通過儀礼にあたって、
神妙な顔をして写真に収められている子ども、
和洋ともかわいい。

子どもにまつわる物、祈りにまつわる物に惹かれるので、
それだけでも気になるリボンですが、部屋に飾ったり、ブローチのように
胸、腰、バッグに使ったり、ビスクドールのドレスに、と使い道も
色々考えられそうです。

フランス、1920〜30年代。

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by au_petit_bonheur | 2009-08-21 17:35 | 古い布