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帯を手作りする楽しみ

昨年末のことになりますが、骨董市で布をお買い上げくださったお客様が通っておられる帯の教室の展示会にお邪魔しました。


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お買い上げ頂いた布で作って下さった帯。



ウクライナのリネンです。麻を育てるところから、糸紡ぎ、織り、刺繍(クロスステッチ、白糸のドロンワーク)、(レース)とすべての仕事をそれぞれの家庭内で手がけた、まさしくホームメイドの布。フランスなどでは、田舎の方でも手織りのリネンは1920年代以降は機械織りに取って代わられたと聞いていますが、ウクライナでは1950年代くらいまで、西欧でいうと19世紀の雰囲気を持った布が作られていたようです。

昔の手織り機の幅なので、幅50センチ前後まで、そして長さ2メートル半ほど、あるいはそれ以上の長い布。タオルとして使われるシンプルな布もありますが、装飾的なものは赤ちゃんの誕生のお祝いに、結婚式では新郎新婦の手を結びつける、あるいは客に供するパンと塩を載せる布として、そしてお葬式でも、と人生の節目節目に手作りされたそうです。また、お祭りでは幟のように使われたり、家の中ではイコンが飾られた壁に一緒に垂らして飾られます。

1950年頃までは赤と黒が基本色で、薔薇や罌粟など花のデザインが多い。花や鳥など、それぞれのパターン、色にも古来からの信仰に基づいた意味があるそうです。長い布の両端に同じ刺繍が施されているのですが、豪華なものだと全体の半分以上が刺繍されています。結婚を祝うものは二人のイニシャルが入っています。


このような布は、パターンや色使いは少しずつ異なり、織り模様のものもありますが、ウクライナだけでなく、ロシア、ベラルーシ、ルーマニアなどの国にあります。日本でよく知られるようになったハンガリアン・リネンもこの仲間だと思いますし、みやこうせいさんの『ルーマニアの赤い薔薇』Amazonには、壁にかけて使われている写真がありました。


刺繍されるなら>
*『クロスステッチ・フォークロア』Amazonにウクライナのデザインが紹介されていました。
*ロシアのものならRamziさんのブログに古いロシアの図案集があります




この名古屋帯は2枚の布を使って作ってくださいました。2枚の柄を前柄、お太鼓、手、垂れと素敵に組み合わせて使って下さっていて嬉しい。手のところは、ウクライナリネンによく使われる白糸のドロンワーク(方眼模様)を模倣しているのだと思われる単色のクロスステッチのボーダー、垂れは結婚する二人を祝福する2羽の小鳥。残った布で、付け帯が一枚作れるそうです。


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ヨーロッパの布で作られた帯のコーナー。右端はモリスの布。インテリアファブリックの帯は、どれも素敵で他では見つけられない存在感です。締めて歩くのが楽しくなりそう。左端のトナカイの柄もお客様のものです。少しだけ足りなかった部分に、別のお店で見つけられたやはりトナカイの柄の布を合わせて垂れの部分にしてアクセントに、という工夫も楽しい。


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北欧の布にジム・トンプソンのタイシルクを合わせた2本の帯。合わせたブルーと茶色で違った印象ですね。なるほど、柄の中の一色を使うといいんですね。着物もやはりこの2色どちらかの無地の紬などを合わせるといいのかな?


和の古い布で作られた帯、日本刺繍を習っておられる方がご自身で刺繍を施された帯、タティングレースをアプリケした帯など、手作りならではの帯が沢山ありました。(出展作品はこちら


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バッグの教室もあります。このがま口が連なったユニークなバッグは先生の作品です。本格的なバッグ作りが習えるそうです。


若い頃は、私の世代としては比較的和服を着た部類だと思いますが、最近はご無沙汰です。自分が好きな布で帯を作るのは、布好きの贅沢だなあ、着物を着て出かけるのも楽しいだろうなあと思いながら帰って来ました。



(写真はお客様からお借りしました)

by au_petit_bonheur | 2013-01-17 12:53 | 古い布

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