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傷だらけのノルマンディーレース

ノルマンディーレースは、始めの頃、フランスのノルマンディー地方やブルターニュ地方のボンネット(ボネ)に施されたホワイトワーク刺繍を再利用して作られることが多かったことから名付けられたと以前の投稿に書きました。今日のノルマンディーレースはまさにそのボネの刺繍を集めて作られているものです。薄く透けるようなモスリン地に緻密な刺繍。

全円が5枚、半円が12枚、2/3円が4枚、沢山の刺繍の見本のようなテーブルクロス。親戚中のボネを集めてきたのかと想像が膨らみます。

twitpicは拡大表示ができるので、少々ピンぼけですが(泣)そちらにもアップしてみました。ここ。この投稿の画像のいくつかは下に拡大画像のリンクを付けました。他の画像はよかったら、上記リンクから画像⇒View Full Sizeで見て下さいね。



拡大すると、肉眼でははっきりわからない補修までよく見える。ニードルレースの手法で施されたカットワーク部分の飾りや、細かいのに立体を感じさせる刺繍も見事。芯入りのサテンステッチと細かな点々のシードステッチで陰影をつけています。

フランスの19世紀のハンカチやボネの刺繍などに見られるホワイトワーク、イギリスのエシャーワーク、18世紀ドイツのドレスデンワーク(ポワン・ド・ドレスド=ドレスデンレース と呼ばれる)、タンバーワークなどのホワイトワークはレースの文脈の中で語られることが多い。その場合、レースの代用品や模造品のように扱われることもあるのだけど、どの刺繍もそうするには余りある独自の魅力のあるものだと思う。






(画像が多いので続きはMoreから)



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弱った布を補強して刺繍の重さをサポートするため、裏にチュールを張って補修してあります。満身創痍、傷だらけ。だからこそ(それでも私にはぎりぎり)手にすることが出来たのだと思う。でも、もともと繊細な作りで、しかも既に一度ボネとして使われたパーツだけで作られているものなので、このようなタイプには完璧なまま残っているものは少ないのではないかと思うのです。現地在住の方や頻繁に買い付けに行く方なら見つけられるのかなあ。まあ、私には予算的にも多分無理なのでこの状態で大満足。



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色々な幅のヴァランシエンヌレースやニードルランなどチュールレースを間に挟んでピースワークしてある。ボネのマットな部分とチュールレースの透けている部分のコントラストも面白いところ。






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実際の大きさはこのくらい?







前回の投稿では「ノルマンディーレースは〜」と、買う時にいつもそう聞いてきたこともあって、当然のことのように書いてしまいましたが、最近ノルマンディーレースの呼称が少し気になっています。

アメリカではそう呼ばれることが多いと思うし、本でもいくつか見たことがあるのですが、イギリスの本ではパット・アーンショウのものくらい?Lace Fairy のノルマンディーレースの項で、参照画像としてレヴィーの本が挙げられていたので、レヴィーもそう呼んでいたのかとページと図像番号で確認した所、名称の記載はなし。しかも19世紀より更に古い時代のもので、レースをリボン状などに接ぎ合わせたものをLace Fairy のLoriさんがノルマンディーと分類したもののよう。パッチワークという意味ではそうだけれど、今まで聞いたり読んだりしたノルマンディーレースの意味合いとはちょっと違うかなあ。

このレースの名前、当て推量だけど、フランスからイギリスやアメリカへ輸出する際に付けられたような気がしているのです。ノルマンディーレースという名前を使っている本などフランス、イギリスでご存知だったら教えて下さい。あるいはフランスでの標準的な呼称があればそれも是非インプット希望です。










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ホワイトワークのキャップバック(ボネのベース)の傑作のコレクションがこちらで紹介されています。著名なレース・コレクターであったらしいAlfred Lescure (1862-1913)旧蔵のものが主だそう。

このサイト宛てに以前問い合わせメールを書いたことがあるのだけど、使われていないアドレスということで返ってきてしまった。このウェブサイト、どういう方が運営しているのかわからないのですが、素晴らしく充実しているので、まだご覧でなければ他のページも是非。特にサンプラーや古いパターンの項目は個人のサイトでは、私は他では見たことのないありがたい内容です。

尚、Alfred Lescureのコレクションを収めた本がアリゾナ大学のデジタルアーカイブのレース関連資料の中にあり、CD Romでも入手できるようです。(未見)このアリゾナ大学のサイトはAntique Pattern Libraryと並んで古い本を探すのにありがたいサイトです。上記2件他、リンクを参考リンク集に追加しています。(整理していないので順不同で見苦しいです)


*思い出したので追記
昔の人のリサイクルアイディア! 下地が弱った刺繍の刺繍部分だけ丁寧に切り取って再構成して新たな布に縫いつけたりすることもあったらしい。どれかの本でそんなハンカチを見たのだけど、見つからず。

by au_petit_bonheur | 2012-01-29 01:34 | ディテール | Trackback | Comments(8)

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Commented by daikatoti at 2012-01-29 09:49
帽子の上の部分を寄せ集めて作ったものなんでしょうか。
要するにリサイクル?
そして、まわりをレースでつないでいく?すごい仕事ですね!
もう、一つ一つが刺繍見本のようで、楽しいなぁ。花一個だけでも刺繍出来たらいいな。
Commented by au_petit_bonheur at 2012-01-29 12:01
totiさん、そうなんです。
帽子の形は地域によって色々あるらしいのですが、19世紀のものは特に
精緻な刺繍が施されていて、それを再利用したリサイクルレースです。
(刺繍のリサイクル↑に追記しました)
ボネを集めたものも面白いのだけど、古い様々なレースを寄せ集めた
ノルマンディーも、色んなレースの標本みたいで可愛いです。
楽しいなぁ。出来たらいいですよね〜。
Commented by patronistaT at 2012-01-30 19:27
こんにちは お久しぶりです。こちらで見かける物はたぶん「ノルマンディーレース」という呼び名は一般的ではないようですね。バスクは刺繍やレースも良い物があるようです。素晴しい写真たくさん拝見できてうれしいです。
Commented by au_petit_bonheur at 2012-01-31 08:45
patronistaTさん、こんにちは。ご無沙汰しております。
(更新サボりすぎ....)
やはり。フランスではボネのベースのドイリー的な、
あるいはパッチワークのテーブルクロス的な
説明的な呼び方しか知らないのですが、スペインでもそうですか?
バスク地方で出たという、すばらしい刺繍図案を持っています。
ということはいい刺し手がいたんだろうなと、ゴックンです。
patronistaTさんはいい物を見る機会が多いでしょうね。羨ましい。
写真の撮り方教えて欲しいです。更新したくない理由の一つが写真....
対象はかわいいのですが。
Commented by ハナマイヤー at 2012-02-13 19:18 x
あまりに衝撃だったのでtwitterへのコメントをここへ。

空き家にいる野良猫多すぎ!
てんこもりどころかギュウギュウ詰めじゃないですか!
こりゃあすごいですねえ。

とっても暖かそうなので、仲間に入れてもらいたいくらいです。

ボネは1つ持っていますが、ここまで刺繍はみっちりしてません。
汚れを落とそうと思ってもみ洗いしたら破れました…。
写真2枚目のみっちみち刺繍がいいですね。
Commented by ぷち at 2012-02-15 10:51 x
ハナマイヤーさん、
ツイッターの方の写真もみてくださってありがとうございます☆
こっちにと思ったのだけど、携帯の写真で、ちとピンぼけ。
これ、縁側の日の当たる所30センチ四方くらいのところに
ぎゅう詰めなんですよ。
そして、強うそうな奴らは人が住んでいる家の室外機の上。
ここの周辺には40匹くらいのノラちゃんがいるのです。
たまにカメラを持って出た時少しずつ撮っています。
いつかCATSくらいに集まったらこちらで〜。

え〜、ボネを「もみ」洗い〜。キャー。
私も2枚目が一番凄いと思います。
Commented by わたゆき at 2012-02-19 13:23 x
よく目を凝らすと、カットワークに渡した白糸バー&刺繍の後ろにネットチュールが縫い付けてあって・・・。このような再利用をする知恵が凄い!泣けてきそうです。
輸出品にもなっていたとは、どんな人がこれを欲しがったのでしょうね。輸出先がイギリスやアメリカだったというのも興味深いです。
産業革命を経たあともなお、刺繍の技術はフランスが進んでいたのでしょうか?
色々と調べたいことが沸いてきます。
とても綺麗な写真をありがとうございます。

Commented by au_petit_bonheur at 2012-02-21 10:18
わたゆきさん、
一部だけ状態のいいパーツと交換という補修のやりかたも
ありますが、これは全体が薄いのでこの方法を
選んだのでしょうね。古いものを見ていると上手下手様々
繕い方を見るのも好きです♪

レースの消費先も国力に従いフランス⇒イギリス⇒アメリカ(20世紀)
と移り、19世紀後半〜のレースの市場として
イギリス、アメリカは大きいと思います。
18世紀末の産業革命を経て19世紀は機械レースの勃興の時期
でもあり、前半はファッションの変化と新しく登場した
マシンレースの影響もあり、一時ハンドメイドレースが
下火になりますが、中盤から貴重な技術としての
ハンドメイドが見直され、コレクションの対象に
なり始めた時期のようです。
(新たに作られた簡単なものですら、販売タグに誇らしげに
リアルレースなどと書かれているものなどあります)
19世紀の刺繍だとイギリスのエシャーワークや、
フランスの白糸刺繍は素晴らしいです。
19世紀は労働集約型の刺繍やレースが産業として
まだ成立していた時代で、素敵なものが沢山ございますよ。^^
(わたゆきさん、ご専攻は社会科学系かと想像中です。
色々教えて下さい)
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